山釣りとは


山釣りと聞いても「なんだそれ」っていう方が多いと思います。検索エンジンで「山釣り」とやってもほとんどヒットしません。
八久和川呂滝 
これほど大きな淵には2尺を超える大岩魚が棲んでいる。


山釣りとは、車では行くことのできない深山幽谷の渓まで自分の足を使って行き、そこに何万年も前から住んでいる岩魚達と出会うための釣りとでも言ったら良いのでしょうか。
要するに登山と釣りをミックスしたようなものだと考えてください。
でも、ただ沢を登って岩魚を釣るだけではありません。山釣りには樹齢何百年という巨樹を眺め、野生動物たちと出会い、山菜やキノコ等の山の幸の恵みを受けるという楽しみもあります。


山釣りのすすめ


「渓流釣りなんて、ちょっと奥まで車で行けば山女や岩魚が釣れるじゃないか。」 確かにおっしゃるとおりです。今ではほとんどの渓沿いに林道がつけられ、車があれば山女や岩魚を釣ることができます。しかし、そこで釣れる魚のほとんどは人間が放流したものです。そして、渓も護岸や堰堤といった人の手が入った場所です。森も然りです。

そういった場所ではなく、ぜひ本当の自然、原始の世界を体験してみてください。峰を越え滝を越えて渓に泊り、焚き火を囲んで親友と酒を呑み語りあかす。そんな素晴らしい釣りを多くの人に知ってもらいたいのです。

越後荒川鱒止滝
この上流にも岩魚はいるので魚止め滝ではないが、
源流の滝壷には大物が潜んでいることは多い。

峰を越え、沢を遡行し、渓で泊る。これは普段都会で生活している私たちにとっては、とてもつらいことだと思います。しかし、苦労すれば苦労しただけの見返りも待っています。そう、魚止めの主との出会いです。渓を詰めていけば魚がそれ以上上れない滝に必ず出会います。そして、その滝壷には40cmを超える大岩魚があなたを待っているのです。
それは大変な思いをしてたどり着いた者だけが味わえる楽しみと言えるでしょう。






山釣りでの注意

山釣りで渓の奥深くまで入り込むということは、文明社会と完全に切り離されるということです。そこにはコンビニなんていう便利なものはもちろんありませんし、人間すら他にはいません。そこにあるのは原始の世界です。
そんなところまで行くのですから、当然都会での生活とは違った点に注意しなければなりません。余裕を持った日程で計画を立てるのはもちろん、食料も予備として持たなければなりません。
すべてをここであげることは出来ませんが、これだけは守ってほしいということを何点か上げておきます。

この逞しい尾ビレが見えるだろうか。。めったに人の来ない
源流には美しい岩魚が群れている。

まず、信頼出来るパートーナーと行くこと。絶対に一人では行かないでください。ほんのちょっとした捻挫でも山では命取りにならないとも限りません。また、一人では決して越えられない難関も、力を合わせれば必ず突破できます。
それと、無茶をする人とは一緒に行かないことです。無茶をして怪我でもされたら、本人はともかく仲間までも危険にさらすことになります。

次に無理だと思ったら引き返す、もしくは計画そのものを中止する勇気を持つことです。山や渓は決して逃げません、次回再び挑戦すればよいのです。無理をすれば遭難という事態にもなってしまいます。

最後にゴミは全て持ちかえる。これは釣り人に限らず常識ですね。吸殻一つ、仕掛けの袋一つたりとも
残さないようにしましょう。