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  山形県 朝日連峰の渓
  2015/06/13〜14



  高橋、斉田、平澤、高野





Text & Photo  : 高野

釣行先を選ぶとき、イワナがたくさん釣れそうというのは、とても重要な条件だ。
それには実績のある渓に行くのが確実だが、そうなると何度も同じ渓に通うことになってしまう。
ときには、未知の渓へと足を踏み入れてみるのもいいものである。
まして、その渓がほとんど情報もない渓であれば、もしかしたらと希望に胸を膨らませるのが釣り人だろう。
日本の渓で釣り人の入っていない所などありはしないのだが、それでもほとんど知られていないようなマイナーな渓はまだ存在する。
そんなわけで、今回向かうのは山形県朝日連峰のとある渓。雑誌等でも名前を見かけたことのない渓だ。
ウジャウジャを夢見て、渓道楽オジサン部隊は梅雨入り前の東北地方に向かって車を走らせた。

高速を降りたらヘッドライトを頼りに真っ暗な道を進み、まだ夜も明けきらない頃に車止めに到着してエンジンを切る。
一瞬で辺りは静寂に包みこまれた。
ドアを開けて車外に出ると、ひんやりとした空気に包まれる。
幸い先行者はおらず、我々だけの貸し切りのようだ。
心配だった天気もまあまあのようで、ホっとした。

そして今日の行程はきつい登りもない、楽ちんコース。
心に余裕をもった我々は、ゆっくりと準備をして出発した。

私は前回かなりヘバってしまったので、さらに荷物の軽量化を徹底した。
2kgまでは行かないが、1kg以上減らしてみた。ちりも積もれば山となるで、細かいものを一つ一つ見直して、できる限り軽量化したのだ。
しかし、一番重たいのはカメラで、こいつが諸々含めて2kgはある。
カメラを持たなかったら楽なんだろうが、それだけは外せない。
かといってコンデジでは画質はもちろん、レスポンスや操作性等、とても満足行くものではない。
ギリギリ妥協してミラーレスとかの軽いのにすれば、半分の1kgくらいには抑えられそうなので、それは今後の課題。

地図を頼りに道なき道を行く。
最近、西日本で増えているダニによる感染症。
藪こぎすると、それが心配だ。


さて、ザックを背負った我々は30分ほどで本流の流れに立っていた。
ここから遡行して支流へと入るのだ。
だが、思っていたより水量が多い。
そんなに大雨が降ったわけでもないのだが。
どうも雪代が出ている感じだ。
そうなると心配は雪渓の具合だった。

二又のテン場まではおそらく3時間程度と思われるが、そこまでに雪渓があると辿りつけないかもしれない。
6月に入っての低温で雪解けが遅れているのか。
渡渉できないほどじゃないが、それなりの押しの強さに遡行も捗らない。

2時間ほど歩いたところでとうとう雪渓が出てきてしまった。
一つ目は渓が開いていたので難なく行けたのだが、2つ目が問題だった。
完全に渓が埋まっていた。
崩れる心配はなさそうだったので、登って様子を探る。
すると降り口が垂直で降りるのが難しい。
なので一度は高巻こうと左岸のルンゼを登るも、壁にぶち当たって撤退・・・。
仕方ないので細引きを使って、雪渓終端を強引に下降した。

しかし、少し行くとミニゴルジュ。そしてそこが雪渓で埋まっていた。
しばらく、あーだこーだとやってみたが、どうにも突破は無理だった。
両サイドもスラブで登れず・・・。
困った・・・予定のテン場まで行けない。
それにここまで釣りせず来てしまった。
他に移れる支流もないし、仕方無しに引き返すことに決まった。

まあ、せっかく来たのだからと私が竿を出してみた。
すると一発で8寸のイワナが出てくれた。
「良かった、これで今日もボウズじゃないぞ」
こいつは晩のおかず用にキープした。

 

朝もやに煙る渓。
流れは、わずかに濁っているような感じだが・・・。

河原を行くメンバーたち。
予想では二又に良いテン場が取れそうな感じ。
問題はそこまで行けるかだ。


途中、水芭蕉の群落を見つけた。
河岸段丘の上に、たくさん咲いていた。

だんだんと水が増えてきている気がする。
雪代なのだろうか。
まだ時間的に早いと思うのだが・・・。


空は快晴!
楽ちん遡行のはずだったのだが、意外と大変。
流されちゃうほどじゃないけど・・・。

雪渓のお出まし。
この先、大丈夫だろうか。

完全に渓が埋まっていた。
ここの突破に手こずる。

一つは越えられたのだが、ここは無理だった。
ゴンゴンの流れじゃなければ行けたのだが。
残念ながら、ここで引き返すことになった。

雪渓のすぐ下で掛けたイワナ。
とても綺麗な姿だった。

すぐに竿をしまって引き返す。
あまりテン場適地もなかったが、10分ほど下った右岸にテン場になりそうな場所を見つけた。
砂地なので大水が出るとヤバそうだったが、ここしかないから仕方ない。
いざとなったら背後の斜面に避難だ。
全員で石をどけて整地する。砂地だけに寝心地の良さそうなテン場が出来上がった。
タープを張って釣りに行くことになったのだが、すでに自分たちで歩いて荒らしてしまっている。
さて、どうしたものかと思案していると、斉田さんが上流へと向かった。
自分は1尾釣っているのでテン場前でまったりしていると、すぐに斉田さんが戻ってきた。
ん? 手に何か持ってる・・・
なんかデカイ・・・

「釣れました〜」
と満面の笑みで言う斉田さん。
「ちょっと、かなりデカイよね。メジャー、メジャー!」
測ってみると、なんと尺2寸!!
「おいおい、どこで釣ったの?」
「さっき戻るときに歩いた右岸の深み。」
「え〜!? マジで?」

ついさっきジャブジャブ4人が往復歩いた所で、釣れちゃうとは。
それも尺2寸の大物だし。
こんなこともあるんだなぁ。
これで前回の吉田さんの尺2寸に続く、連チャン大物。
羨ましい!

テン場の上下で軽く釣りをした程度で、今日はもういいやって感じに。
相変わらず、あまり釣りしないで満足しちゃう渓道楽。
にしても今回は特に釣りの時間が短かったなぁ。
私は9寸ほどの綺麗なイワナを追加したので、「まあこんなもんか。」とある程度満足。

さ、あとは高橋さんにイワナをさばいてもらって、刺身や天ぷらで美味しくいただく。
それから今回は高橋さんに腕をふるってもらい、モツ鍋を作った。
だし汁を味見させてもらったら、これが美味いのなんの。
さすが板長仕込みの秘伝の味! 最高です、板長!

そしてお決まりの盛大な焚火で、渓の夜が更けていった。

明けて翌日、テン場を片付けての帰り道。昨日釣りができなかったからと、竿を出しながら釣り下る。
しかし、減水しているからなのか、釣り下りがいけないのか、理由はわからないがアタリすらなく退渓点に
ついてしまった。
大休止を兼ねてみんなでテンカラを振るも、良い場所なのにアタリ無し・・・。
諦めて車止めへと急ぐ我々であった。

今回は新規開拓の渓であったが、雪渓に阻まれてちょっと不完全燃焼気味だった。
雪渓無ければ結構いいと思うので、また次の機会に奥まで行ってみたい。

転がっていた石ころをよけて、整地したテン場。
下が砂地で寝心地良し。


テン場前で竿を出す高橋さん。

初夏の渓は清々しい。
こちらは平澤さん。

煌めく流れ。
























  のんびり写真なぞ撮っていたら、
  斉田さんが大物を釣ってきた。
  尺二寸は、さすがにデカイ!



























尾びれもピンとして立派だ。

私には9寸が来た。


夜のお楽しみ、焚火。
今夜も盛大に燃やそう!

翌朝のテン場前の流れ。
昨日に比べて、20cmは減水していた。


おなじみのメンバーたち。
左から、高野、高橋さん、平澤さん、斉田さん。

昨日竿を出していないところを釣りながら帰る。


ここはズラブの渓だった。

支流の滝をスローシャッターで。

渓にはツツジが咲いていた。



























  楽しい沢旅もここで終わり。
  またいつか来よう!

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