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  静岡県 信濃俣河内
  2015/05/02〜04



  斉田、高橋、平澤、宮川、田中、福田






Text   : 宮川
Photo   : 斉田、福田

いよいよ今年も大人数で釣行に行ける大型連休がやってきた。すでに釣り初めを済ませてしまったメンバーもいるが、私は今回が今年初釣行となる為かなりテンションが上がっていた。今回も多人数ということもあり昨年5月に入った同じ南アルプスの信濃俣河内に入る事に決定。

5月1日の22時に関東を出発し2台の車に分乗し静岡を目指す。流石に連休初日とあり深夜といえども車の量は半端ではなく、高速でかなり時間を費やしてしまった。現場に近づくにつれテンションも上がり眠気が遠のいていく。
そんな時であった、車止め1キロほど手前から我々の車の後ろにぴったりと着けてくる車がある。
釣り人なのか?
やがて車止めに到着。降りてきた人に話を聞いてみると、どうやら地元の方々で我々が来る前から手前の地点で仲間と待ち合わせをしてから入渓予定だったとの事。
なんだか話方も険しくなってきて内心冷や冷やしていたところ、斉田さんがここで寸又さんと待ち合わせの予定なんですがと話をすると、どうやら先方も寸又さんをご存知のようである。さすが寸又の兄貴!顔が広い。いっきに温和なムードになりテンバは広いので同じ場所に張り、初日と2日目に釣る沢を交代して釣ることで合意。


昨年も下った降り口から降りようとするが今年は様子が変だ。バックウオーターの水位が高くそのまま降りる事が出来ない。残置ロープを強引に斜めに下る必要がある、問題は誰が先行するかだ。斜めむかいの木に残地ロープをくくりつけるのは至難の業だ。ところがである、若手を頼ることも無く先陣をきったのは斉田さんである。危険な箇所をものともせず全く年を感じさせない頼れる先輩だ。

車止めからの降り口
かなり急なガレ場である。

バックウォーターに降り立ち、ここから遡行が始まる。

メンバー全員が渓に降り立ったところでしばしの休憩。山に映える新緑のなんと美しいこと! この後はひたすら川通しで上るだけである。テンバまではさほど難所もない。
今回はテンバ予定地のある程度手前からザックを背負ったまま釣り上がる予定であるが、どこから釣るかと話をしながら渓を歩く。
昨年は今回より下流にテンバをとっていた為、そのテンバからしばらく上った箇所から竿を出す事に決定。

2時間ほど歩くと良い渓相が顔を出し始めた。おもむろにケンちゃんが竿を出し始める。どうにもポイントになりそうな箇所を素通りすることに我慢できなくなったようだ。
他のメンバーは遡行するのみであったが、ケンちゃんが朱点の綺麗なアマゴを釣り上げると早速釣竿を出すのであった。
出発時決めていた話はまるで無かったかの様に、釣り人というものは現金なものである。

昨年のテンバ下流から徐々にアマゴが出始める。どれも8寸程度と良型である。 しかし、ザックを背負ったまま6mの竿を振るというのはしんどいものである。(ザックにビール入れすぎか?)

ケンちゃんに続き私にもアマゴが。
ひれピンの綺麗なアマゴだ!

我らが板長の高橋さんにも良型のアマゴが。
平澤さんにもアマゴ。

昼ごろにはテンバに到着し、早速タープを張る。タープを張ったらまずはウェルカムドリンクのビールで乾杯。
「かっー!うまい!」重いザックを背負って登った苦労が一気に報われる瞬間である。
この後はザック無しで釣りに専念出来ると思うと、ますますワクワクする。

しかしながら下で約束したとおり本日は私達メンバーは本流筋では無く支流の方へ。少し水量が少ないのを不安に思いながらテンカラと餌釣りの両方で攻める。人数が多い為支流の沢をさらに二手に別れる。

渓相はすばらしいのだがテンカラを振るには少し難しい流れのようである。テンカラを振った後に底を餌釣りで探っているとゴツゴツと独特のアタリが。しっかり喰い込ませて上げると9寸の岩魚だ。
その後同サイズの岩魚を追加しテンバに戻る事へ。
もう一方の沢へ行ったメンバーへ釣果を尋ねると、小さいのが一匹だったとの事。やはり水量が少なすぎたようである。

テンバにて川に入る前に会った別のメンバーと合流。よくよく話をきいてみると地元のヤマト渓流会の方たちであった。
今夜は渓道楽のメンバー6人とヤマト渓流会の3人、合計9人の大宴会である。釣りやそれ以外の話でも大いに盛り上がり酒の量も普段より多めに飲んでしまうのであった。

お互いに明日は本日入った支流と交代して入る訳だが、お互いに釣果では負けたくないという思いが心の奥底に見え隠れしているのであった。

ヤマト渓流会の方々。
またどこかで会ったら盛り上がりましょう。




2日目の朝、今日も快晴である。今日は丸一日釣りに費やす事が出来るので、かなり上流まで釣り登る事となりそうだ。昨日のヤマト渓流会の方たちの情報では、胸まで水量のある箇所をヘツリで通らねばならないところもあるらしい。

本流を釣り始めて暫くすると大きな釜や小さな滝が現れ、随所に大場所が見られる。唯一気がかりなのはヤマト渓流会の方々が昨日釣った場所にて釣果を上げる事が出来るだろうかという事である。

上流に行くに従いぼつぼつとアマゴや岩魚が釣れ始め、まずは安心する。それにしても大場所が多い為、釣り上がるには体力がいる。
「ここには尺がいるだろう」というような大場所に餌を投じるも8寸9寸サイズ。
が、沈黙を破ったのは平澤さんである。
平澤さんの竿が弓なりにしなったと思ったら、周りのメンバーから「でかい!」との声が上がる。慎重に寄せて測ってみると34センチの立派な魚体であった。


本流は大場所が随所にあり、すばらしい渓相だ。


大きな釜をへつってクリア。


2日目、斉田さんがアマゴを釣り上げ、まずは一安心。

34cmを手に満面の笑みの平澤さん。(ああ羨ましい)

尺1寸までは、そこそこ釣れるものだが、
それを超えるイワナはそうそう釣れるものではない。

福ちゃんもフライで岩魚をゲット。

南アルプスのたくましい岩魚達。


巨岩帯のため、登るのも一苦労であった。

平澤さん以降は尺上も出ず、滝登りや大高巻きなどに力を費やすこととなる。
しかし、15時頃となった為、納竿しテンバに戻る事に。
今日は寸又兄貴との待ち合わせの為、帰りの沢下りも足が軽やかだ。


行きにへつった大釜では高橋さんがずり落ち泳ぐ羽目に。
高橋さんはあせっていたようですが、メンバーはわざとやっていると思い笑って誰も助けず。
他のメンバーもほぼ泳ぎで渡りました。

テンバに着くとまだ兄貴の姿は見えない。ひょっとして仕事が忙しくなって来れなくなってしまったかなと話していた時であった。下流から人影が! まさしく寸又兄貴であった。しかもカツオのお土産持参にて!
昨年も頂いたが、寸又兄貴の持ってきてくれるカツオがこれまた絶品なのである。今夜のテンバ宴会も寸又兄貴との再会を祝し、盛り上がる事間違いなし。

カツオも美味しく頂いたが、板長にタラの芽や岩魚を天ぷらにカラッと揚げて頂き、これ以上無いと言うほどの絶品料理が並ぶのである。板長こと高橋さんが料理をしてくれる事に感謝である。
天ぷらにしきれなかったタラの芽は細かく刻み炒め、翌朝の炊き立てご飯に混ぜこんだ。これまた絶品である。これだから山泊まりは止められない。
翌日は帰るのみであったが行きに来た川通しでは無く、寸又兄貴の先導にて山道を歩く事に。しかし、山道はかなりガレておりズリ落ちていったら二度と這い上がれないような箇所もあった。びびる我々を尻目に寸又兄貴は「カモシカか?」と思わせるほどの速さで山を歩いていく。
寸又兄貴の先導もあって、何とか全員無事に車止めまで着いた。
南アルプスの大自然と、渓道楽にお付き合い頂いた寸又兄貴に感謝します。

カツオが板長の手によって捌かれる。
寸又兄貴ご馳走様でした。

寸又兄貴と高橋さん、斉田さん。

テンバにて記念撮影。
テンバは広く快適であった。

ようやくダム湖が見えてきた。
車止めまであとひと踏ん張りだ。

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