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  関東 某川
  2013/09/28-29



  斉田、高野(渓道楽)




Text & Photo : 高野

この釣行記を書いているのは、10月も半ば。
すでにほとんどの河川が禁漁期間に入ってしまっている。
今年の釣行を振りかえってみると、釣れたのと釣れないのが半々だった。
中でも三峰川の貧果には参った。あれだけ苦労したのにボウズとは・・・。
そうかと思えば岩手のように、車を横付けでポンポン釣れたり。
しかし、これも自然相手の遊びだから仕方がない。

そして今回の最終釣行。
私「最後くらいは爆釣したいよね。」
斉田さん「じゃあ、秘密沢に行きましょうか?」

というわけで、斉田さんの隠し沢に連れて行ってもらえることになった。
斉田さん、ありがとうございます。

今回はいつものメンバーにも声を掛けたのだが、みなさん仕事で行けないとのこと。
もっとも大人数だったら秘密沢には行けなかったみたい。
話によると釣り場が短いらしい。せいぜい数百メートルで、2時間も釣り上がると滝が現れゴルジュになってしまい、
巻いても降りられないとのこと。
なので2人くらいでないと釣りにならないとのことだ。

いつものように22時出発で未明に車止めに着いた。
2人で乾杯して仮眠したのだが、寒くて目が覚めてしまう。
山はもう冬が近付いているのだ。

うとうとしながら朝を迎え、着替えして出発する。
いつものことだけどエンジン掛かるのが遅いので、最初の歩きが辛いこと。
年は取りたくないものだ。
瀬畑さんや、うちの岩田顧問などは70過ぎても渓流を歩いてるんだから、ホントに大したものだと思う。
自分が70になったら絶対無理!

紅葉はまだ始まっていなかったが、明け方はかなり冷え込んで眠れないほどだった。
眠い目をこすりながら準備をする。


見上げると素晴らしい青空だ。
わずかに色付いた木も見られた。


辛い登りで少しでも気を紛らわせようと、キノコを探しながら歩く。
「マツタケでも出てないかなぁ」と私。
「黒部で採ったことあるよ。登山道の脇に出てた。」
「マジで?! いいなぁ。」
今年はマツタケの当たり年だとか。
一度でいいから、マツタケの群生に出会ってみたいものだ。

マツタケは無かったがキノコは出ている。でも、食べられかどうかわからない物ばかり。
中には明らかに食べられないものも。
死の天使と恐れられるドクツルタケが何本も。
森の中に生える真っ白な姿は見ている分には美しいが、1本食べれば確実にあの世行きの恐ろしいキノコだ。

他にも肉厚で美味そうなツキヨタケもたくさんあった。

だが、自分たちが知ってる食えるキノコはなかなか無い。
と、ようやく斉田さんがタマゴタケを発見!
これは美味そうだ。
他にはイグチが2本ばかりあっただけで、お目当てのマツタケ、マイタケは無かった。
まあ簡単には見つからないよね。

九十九折れの山道を登っていると先行する斉田さんが
「お、なんかいる。猿か? あ、カモシカだ!」
「どこどこ? お〜いたいた! 写真撮れるかな? カシャ!」
カモシカはしばらく2人の侵入者を見つめていたが、森の奥に消えていった。

ホコリタケ
押すと頭の先の穴からホコリのような胞子が出るあれである。
このキノコ、なんと食べられる。ただしホコリが出るようになる前の若い状態のときだが。

おお! 美味そう!
肉厚でプリップリの・・・毒キノコのツキヨタケじゃん(笑)
見た目がムキタケにも似てるのでご用心。

食べると30分から3時間のうちに嘔吐や下痢などの症状が出る。酷い時は死亡する場合もあるそうだ。

二つに割ってみると、やはり黒いシミがあった。
これがツキヨタケの特徴。
ただし、若いのにはシミが無い場合もある。人間と同じだね(笑)


これはなんだろうか?

こいつも食べられそうだが、分からないのでやめておく。

























  立派なブナ。
  ここは人の手の入っていない原生林だ。

























やっと食べられるのが見つかった。
立派なタマゴタケだ。

森の住人、カモシカ。
斜面を駆け上がり、こっちをじっと見つめていた。


やっと下りになった。
渓まであと少しだ。



























  これも食えそうだけど・・・。

























これも知らないキノコだ。
テングタケかな?

























  これは・・・
  死の天使、ドクツルタケ?


そしてようやく道は下りとなり、どうにか渓に到着!
私「やっと着いた。 テン場はどこら辺?」
斉田さん「少し遡行したところにあるよ。 そこまで釣りながら行こう。」

目の前にはいい感じの滝とぶっつけになっている釜がある。
いそいそと仕掛けを繋ぎ、2人で竿を出すと・・・

クン、ッククという懐かしいイワナのアタリだ!
少し待って送り込んで合わせると、グンッという手ごたえが竿に伝わる。
「これだよ、これ。源流はこうでなくちゃ。」

抜きあげると9寸はある良型のイワナだ。

そして斉田さんにもアタリが来ている。
こいつも同サイズのイワナ。
2人の顔に笑みがこぼれる。
ウジャウジャの渓っていうのは本当だった。

そしてザックを背負い滝を小さく巻く。
その上にもまた好ポイント出現。
そしてまたまた良型のお出ましだ。

「すごいね、斉田さん!」
「でしょ!」

その滝では斉田さんが2尾連続。
私も1尾釣って上流に。

その滝の上に良いテンバがあったので、ここに決定。
高台になっているし万一の増水時も安全だろう。
今日は素晴らしい天気だから、大丈夫とは思うが。

早速、そこを整地してタープを張る。
今日は2人だけだから、広々使える。
ただ、気になっていたのは風がかなり冷たいこと。夜は眠れるだろうか?
そこでタープの両サイドを地面につくくらいにして、風が入ってこないようにした。



渓は白い花崗岩を削って流れていた。
とても美しい流れだ。



























  私の竿にいきなりきた良型。
  渓も美しいがイワナも美しい。
























同じポイントで斉田さんにも!
こいつも同じくらいのサイズだ。
こりゃ入食いだ〜。


























  こいつもデカイぞ。

ザックを背負って釣りながらテン場を目指す。

好ポイントの連続だ。

はやる気持ちを抑え、昼飯を食べてから上流へと向かう。
さっきのペースで釣れたらいいなと、かなり大きな期待をしながら竿を出した。
落差も大きくちょうどよい高さの滝と釜が続いている。
そして期待にたがわず釣れる釣れる!

ひとつの淵から2尾、3尾は当たり前だ。

斉田さんにかなり大きなのが掛かった!
しなる竿。
う〜ん、惜しい!! 29.5cmの泣き尺だ。
でも丸々してて、この渓が豊かなのがわかる。

決して大げさでは無く、ポイントというポイントから釣れてくる。
釣っては放しを繰り返し、2人はゆっくりしたペースで釣り上がった。

そこは、小さな滝の下に岩が転がり、その下がエグレになっていた。
上手く仕掛けを流しこむと、グングンという重いアタリだ。
誘導して引っ張り出すと31cm、ついに念願の尺イワナだ!
珍しく斉田さんより先に尺釣っちゃったよ(笑)
「斉田さん、お先に失礼〜。 あ〜でもこれって、次に斉田さんに尺2寸とかが来ちゃうパターンじゃない?」

























テン場を作って昼飯食べて、出発!
でもって、いきなり釣れるし。
これもいい型でしょ!?


























  おお、また釣れたみたい。

美しい滝が次々現れる。
釣りだけでなく景色も楽しめる渓だ。


まただよ、また!

























イワナの楽園だね。

いい顔してるぜ。


























  よっしゃ! 31cm。
  久々の尺物だ! もう最高!!

まだまだ粘るよ〜!
























まだいるよ。
何尾釣ったっけ、斉田さん?

散々竿出して、もういいかげんいないだろうと思ったら・・・

うほっ。

























  来たよ、来た!
  本日の記録、尺一寸!
  デカイね、やっぱり。


























斉田さんにも、尺キタ〜!

「いったいここだけで何尾釣った?」
「2人で15尾くらい?」
「ここマジですごいね! 斉田さん。」
「でしょ!?」


水中に手を突っ込み、釣れたイワナを撮影。
構図が分からないから難しい。


何枚も撮った中で、まあまあの1枚。



もうここで釣り場は終わり。
「ホントに短いんだね。」
「滝を巻いて上も偵察してみよう。」

2人でズルズル斜面をよじ登り、結構怖い思いをしながら滝上に出た。
斜面をトラバースしながら行くも、降りるところが見つからない。
やはり崖になっていて、渓に降りるのが困難だった。
延々と続くかのゴルジュ。無理やり降りたら、今度は登れないかも。
滝の釜を泳げば行けそうだったが、今日の気温と水温では勘弁してほしい。

「来年の夏に泳いで上流目指そう!」
「賛成〜」

というわけで斉田さんの言うとおり、ホントに数百メートルを釣って終了。
テン場まで下ると、ものの15分でもう到着。「近っ!」

でも、この数百メートルで何尾釣れたか忘れるほど、たくさん釣れちゃった。
あまりに釣れて、塩焼きにする分をキープするのを忘れるほど(笑)
こんなに釣れたのは久しぶりだなぁ。

そして夜はお約束の焚火タイム。
流木も豊富でとっても良いテン場だった。

今シーズンもあっという間に終わってしまった。
でも素晴らしい仲間と、たくさんの楽しい思い出ができた。
また来年、みんなで渓へ行こう!

























  焚火ができれば幸せだ。
  すばらしいひととき。

























ゆらめく焚火の炎を眺めていると、
心が癒される。

翌日も素晴らしい朝だった。

このテン場も良かった。
寒さ対策をしっかりしてきたので、よく眠れたし。

斉田さん(左)と私。

今シーズンの思い出を胸に、森の中を下る。


これも分からないキノコ。
ホテイシメジかなぁ。


しかし、良いことばかりでは無かった。
帰りの山越えで何やらまとわりつくアブのような虫が!
ハチだ!
登り斜面を走って逃げたのだが、左腕を2か所刺されてしまった。
チクチクっときたと思ったら、刺されていた。
クロスズメバチ(地蜂)だった。
手首のところはハリが残っていたくらいだから、毒も結構入ったのだろう。

当日は平気だったが、数日後にこんな感じに。
痛みはほとんどなく、痒みがあった。

一週間ほどで腫れも収まって、今では大丈夫です。
みなさんも蜂にはお気を付けを。

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