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 福島県 あそこ
  2007/06/09〜10


  怪長、副怪長、常無、銭無(日本吸盤協会)
  malmaさん(フリー)
  高野(渓道楽)



Text : 高野
Photo : 副怪長&高野

今年も毎年恒例の「あそこツアー」の季節になった。
「あそこツアー」とは、ネットの釣り仲間が年に1回集まって、福島県のある渓に釣りに行くツアーのことで、毎年6月に行われている。
昨年は諸事情で中止だったので、2年ぶりの開催である。

今回はネット仲間数人で結成された「日本吸盤協会」の怪長、副怪長、常無、銭無の4人と渓道楽の私。そして前日になって急遽参加表明のあったフリーのmalmaさんの6名のメンバーである。
日本吸盤協会の4名とは良く会っているのだが、malmaさんとは何年ぶりだろうか。久しぶりに会えてとても嬉しい。

さて、気になる天気だが、予報は終日少雨。どうなることか心配されたが、栃木辺りで途中降られたものの現地は雨も上がって、まずまずの釣り日和となった。

現地には未明に到着。幸い車止めには先行者は無く、今年こそ「あそこ」の渓に入れそうであった。今まで2回参加しているが、一番魚影の濃い「あそこ」に入ることができなくて、「そこそこ」の渓へと入渓していた私。今回は念願の「あそこ」に入れることがとても嬉しかった。

やぶ蚊とブヨの猛攻をかわして素早く着替えた我々は、渓への杣道を歩き始めた。
例年ならたくさんの食べ頃山菜が出迎えてくれるのだが、ご存知のように今年は記録的と言ってもいいほどの少ない降雪量だったため、美味しそうな山菜は伸び放題。これには非常にガッカリきた。

まあ山菜はとりあえず置いておいて、まずは岩魚である。1時間ほど歩いて渓へと急下降し、竿を伸ばす。
先月は釣行前日にタクシーとぶつかる事故で断念していたので、2ヶ月ぶりの釣りに心が躍る。
静かな朝の渓は釣り人を歓迎してくれるのだろうか。

まずは私が本流へと注ぐ沢の滝に第一投。しかし、シーンと静まりかえっていて、アタリなし。
気を取り直して次々とポイントを探っていくのだが、全然反応が無い。
例年に比べて水が少ないのが原因だろうか。そのせいなのか、水質もあまり良くない感じがするのも気がかりである。

最初のポイントではアタリ無しだった
Photo by 副怪長

しばらく歩いて行くと「スィー」と群れで泳ぎさる魚影が。
「お〜ぉ!」と声が出るがハヤの群れだった。
お目当ての岩魚はいないのだろうか。

やがて流れが狭まり、両側に岩のエグレを持った滝が出現。ここで滝の落ち口にエサを投入し、吐き出しまでながしたところ、初めてのアタリが出た。「よっしゃ〜、来たでぇ〜」
クンクンと引く岩魚特有のアタリ。十分に待ってアワセをくれたのだが、スッポ抜けてしまった。
「ぬゎんでや〜」
ギャラリーから「あ〜あ」とため息とも嘲笑とも付かぬ声が。
もう一度流してみたが、お利口な岩魚は食ってこない。完全に見切られている・・・。
下の吐き出し付近を見ていた副怪長が「お、いっぱいいるよ」と教えてくれた。
溜まっていたみたいだが、バラしたのが影響したのか、もうダメである。

その後も全然釣れずに渓は沈黙したままで、遡行する足取りも重くなる。

奥で竿を出す常無とそれを見守る日本吸盤協会の面々
このあと吸盤協会のヘツリが始まった
先には雪渓が控えている
ヘツったものの、雪渓に阻まれて巻く事になった
オレンジのザックは銭無
支流が滝で出合ってきた
この滝つぼもmalmaさんとやったがアタリ無し
岩魚たちはどこに隠れているのか
滝つぼに竿を出す吸盤協会の怪長
こちらは渓のキャディー malmaさん
この渓はナメ床も多かった
V字渓に光が差す
沢山あったホウの木
光を受けて美しい緑に萌える
朝日の下をゆっくりと釣りあがる

いいかげん釣れない釣りにも飽きてきて、何か山菜でも無いものかと見回してみるが、たくさん生えているウルイも大きく育ってしまって、イマイチである。
そんなダレた雰囲気を振り払ってくれたのは、岩手から参加の銭無であった。
ちょうど私と銭無が両岸に分かれて先頭を進んでいたとき、前方に”いかにも”というポイントが現れたのである。
私は左岸、銭無は右岸。そのまま足早に滝に近づき竿を出した。
そして私の竿は沈黙を保っていたが、銭無の竿が大きく曲がっている。
「やられた〜」
その低い滝は流れがやや左に寄って水を落としていて、右岸のほうがポイントだったのだ。

上がってきたのは丸々した9寸岩魚。
「ど〜だ、やったぜ」と銭無が私を見ながらニヤケていた。「く〜、ちきしょ〜!」

良型を手にニヤケる銭無

一人釣れれば活性の下がっていた釣り人たちにもカツが入る。

その後は徐々にアタリも出だして、怪長、副怪長らにも岩魚が来た。
もちろん私の竿にも7寸ほどの大きさではあったが、ちゃんと掛かってくれた。

竿を出す常無
120kgの巨漢が渓を揺らす
美しい岩魚
























  タニウツギの咲く初夏の渓























ゼンマイの綿毛を散歩中のテントウムシ  

さて、6人で交互に釣りあがってきたのだが、奥の二股まで来てしまった。
ここで私は常無と二人で左股に入る。

ポンポンと続けて7寸ほどのが来て、次にボサの被っているポイントに流し込んだときである。
今までよりも重たいアタリが私の手に伝わってきた。
「お、これは良型だぞ」とじっくり待ってアワセたつもりが、またまたスッポ抜け。
どうも今日は食いが浅い。分かっていたのに、ここぞというところで失敗するなんて・・・。

気を取り直して上流のポイントに向かう。小さな落ち込みだが、ここにきて落ち込み毎に岩魚が入っていたので、居るのは間違いない。
ブドウ虫を着けて白泡の中に落としこむ。
と、すぐにアタリが出た。
「今度は外さないぞ」と長めに待ってガツンとアワセた。
今度のも重たい感触。
いつの釣りから付いていたのか忘れるほど古い仕掛けなので、抜いたりせずに岸にずり上げる。
「お、これはデカいんじゃない?」
とメジャーを当てると28cm。丸々太っているので尺あるかと思ったのだが、それほどでもなかったのが、ちょっと残念。でも、今日の最大サイズの9寸に、嬉しさがこみ上げる。
今まで釣ったのは全部リリースしていたが、これはキープさせてもらった。

捌いていると雨が降り出し、川原の石を濡らしていく。
今日はこの1尾で十分満足したので納竿とし、みんなの元へと引き上げた。

9寸が潜んでいたポイント
上流部ではポイント毎に岩魚が入っていた
今回、私が唯一キープした9寸
晩の刺身になってもらった

そこからは山菜を探しながら帰ったのだが、上流部でもみんな伸びてしまって、食べ頃のが全然無い。
かろうじて若そうなウルイや、コシアブラの芽の先っぽを摘みながら、車へと戻った。

帰りの森の中で見つけた巨大なブナ
彼が生まれたのは江戸時代だろうか
帰り道を行くメンバーたち
ところどころスラブになっていて恐ろしい場所もあった

Photo by 副怪長

さあ、この後は温泉に入って宴会である。
今日は日本吸盤協会の弟子希望さんからの差入れで、とてつもない大きさの牛肉の塊があるらしい。
それから岩魚の刺身もあるし、少しだが山菜のテンプラもある。
気の合う仲間と楽しい夜が過ごせそうだ。
























  分厚い肉、肉、肉!
  こんなの食べたこと無いゾ
炭を起こす副怪長
そして焼く!
こちらは銭無が捌いた岩魚の刺身
今回のメンバー
前列、副怪長  後列左から、常無、高野、怪長、銭無、malamaさん

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