今回もご案内頂いたのは、源流デビューの頃からお世話になっている「寸又渓輔　兄貴」とその先輩のバカ長隊の方々である。
　ヒマラヤを制した力強いリーダー「時田隊長」とサッカーで鍛えた健脚にして徹底したビール党-焚き火の鬼「火の神-浅川事務局長」である。
　今回は皆さんが大事にしてる渓なので名前や風景はあえて伏せさせてもらう事とする。

　自分自身、今年は仕事が忙しく、３月の解禁時の寸又兄貴の渓にご案内して頂いたきり渓泊りは半年以上振りである。以前に故障した膝の心配はあるものの、同行メンバー、行先、夏を象徴する晴れ渡った空に入道雲、心地よい風、楽しくなる事間違いなし。
　バテ始めた頃に時田隊長、寸又さんが見つけた「チチタケ」を覚え、その後チタケ探しが始まり、活性を注入してくれる。「白い液が　フォッー！！」と調子に乗ってると「これは毒キノコだ、フォッー！！」と投げ捨てられ・・・。
最近では釣りよりも、仲間との渓呑み同様に山菜やきのこを覚える楽しみが自分を山に導く。人間という動物として賢くなった気がする。

チタケ採りをする寸又兄貴

　遡行は自分の都合と渋滞で出発が遅れたため、テン場は予定より手前に建てる。ここで登場するのが、浅川さん特製のキンキン！！冷え冷えビールフォー！！。これが見事なくらい五臓六腑に染み渡る。これは本当にお金を払って飲みたいくらいの旨さなのだ！！

　そうこうしている内に日が沈み、満天の星空の中で時田隊長や寸又兄貴の抜群に旨いワンパク宴会料理が次々に出てくる。特に印象深いのは初めて食べた時田隊長の「ワンパク太刀魚のムニエル」。こんなに美味しい魚は滅多に食べた事ないが、聞けば地元では普通にスーパーで売ってるという。

火の神　浅川事務局長と時田隊長

　そして、焚き火に目をやると「火の神」浅川さんが満面の笑顔で風を送り込み見事な焚き火が上がってる。最高の夜である。
　翌日の釣りに向けて、前回バカ長隊の方々が来た時の釣果の話をはじめ、盛り上がる。
　いつもは、遅くまで飲んだくれる自分も、この日ばかりは久々の遡行の疲れと前日の二日酔いのせいもあり、早々に堕ちた。

　気付くといつの間にか心地よく寝て、起きたら4：30。
「さー、釣りだ！！」

　尺ヤマト岩魚の聖地にしてなぜ！？というくらい過去、自分だけが尺岩魚が釣れなかった。理由は簡単で「ものすごく釣りが下手だから」。人によっては「まっちゃんが釣る岩魚は自殺願望がある岩魚だけだ」とも言われる程である。
　今回ばかりは「まっちゃんに尺を！」という事で自分が尺を出すまでは皆さん竿を出そうとはしない。それどころか、「この沢の岩魚には餌はミミズよりもブドウだ！」「いや、ミミズだ！」とお世話になる始末。とにかく出した尺。（ところが記念撮影でナチュラルリリース　フォー！！）
　待ってました！と皆さんが一斉に竿を振る。

尺一寸を抜く浅川さん

　早くも自分の目の前で早速、浅川さんが尺１寸を抜く！しかも手馴れた様子で抜く。決してファイトはしない！！　抜く。
　結局、自分は２本の尺を皆さんのお陰で上げられた。この沢は何が凄いってアマゴ程の体高があり丸々太ってる。だから８〜９寸でも尺並みの引きを味わえる。（大して味わった事ないくせに！！）
　顎から鉤を取ろうと口の中を見ると、食べたばかりのカマドウマ（別名：便所コオロギ）がまだ残っていた。


　そしてフィナーレは滝下で38ｃｍを上げた。

他人のフンドシで記念撮影

　というのは自分でなく、寸又兄貴である。
　最後のフィナーレを前にして自分が余裕こいて、「ＮＡＴＵＲＥ　ＣＡＬＬ」をしていると、すぐ目の前で寸又兄貴が、魚止めらしき滝下で竿を出す。
　竿がすんごいしなり方をしてる。誰もが根がかりかと思った次の瞬間に、走り始めた！　足元でライズした大きさはバカでかい！！周囲から「うおぉー！！デケー！！」と駆け寄る。自分もしまうのを忘れて駆け寄る！！
　３〜５分のファイトの後に上がった主は38ｃｍの精悍にしてキレイなオスのヤマト岩魚だった。

　しかも後で聞いてみれば、4.5ｍの竿だったそうな。巧みな竿さばきを目の前で拝見した瞬間に一平じいさんの「教え」を思い出した。
「竿ってやつはしょせん手の延長にすぎん｡竿の良し悪しはその竿を持つ人の腕の良し悪しによって決まる｡」



　釣った尺上岩魚は全て活かし魚籠から滝つぼへ帰す。
　大事な産卵の元になってもらい、これからも豊富な渓であってもらうために。
　大事な友人達と大事にしたい渓で撮った忘れられない２００５年　夏の風景だった。













＜リンク＞
バカ長隊：http://bnt.boo.jp/c2005/05sa12/05sa12.htm
寸又兄貴：http://www2.wbs.ne.jp/~yagidai/fishing/2005/050827/050827.htm