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 埼玉県 荒川水系 支流


  1998年03月28日

  高野
  天候:晴れ
  気温:高



Text  :高野 智 

 1年ぶりに見る渓はすっかり姿を変えていた。狭い川原は草がなぎ倒され、川底はこぶし程の礫で埋まり9寸の岩魚が出たぶっつけは無くなっていた。

 入渓点からしばらく釣り上がると友人が9寸のヤマメを釣り上げた小滝があったのだが、そこに滝は無くただの落ち込みと化していた。どうやら滝を作っていた直径3m程の大岩が押し流されたようだ。そこまで魚信は無し。これは魚も流されたかと思ったが、その落ち込みを超えると当たりが出始めた。しかし、結構渋い当たりで私のヘボな腕ではアワセられない。7寸程のヤマメをバラシてしまいガックリ。しかし、大岩の縁を流したところやっと6寸のヤマメが出た。成魚放流ではない綺麗なヒレのヤマメで、しばし見とれる。1尾釣れれば集中力を取り戻すのも簡単である。その後比較的簡単に2尾のヤマメを追加した。1尾は7寸の良型だったがヒレの丸い成魚放流物。もう1尾は6寸だがヒレピンの綺麗なヤマメだった。

 そのあたりから両岸に倒木が目立ちだした。大きな杉等がバンバン倒れている。まだ葉が青々としているものが多く、最近倒れたもののようだ。そんなに大雨が降った記憶はないのだが・・・。考えられるのは1月に関東に降った大雪くらいである。川底が埋まっているのは木が倒れて土砂が渓に流れ込んだ為だろう。

 その後昼になるまで釣り上がったが、手にしたのは6寸のヤマメが1尾だけだった。当たりはあるのだが結構スレていてアワセられずに終わってしまった。最後は集中力も切れ、以前通らずになっていた所がどうなったか気になったので、そこまでは行こうと渓を遡る。やがて切り立った崖が視界に入ってきた。思っていた通り以前は深くて途中で腰以上だった通らずは、膝位の深さになっていた。しかし、最後の滝は健在だった。滝の手前3m位からはグッと深くなり、やはり泳がずには行けそうもない。少しホッとしてそこで昼飯にした。

 昼飯を食べて一服していると淵尻の落ち葉のたまったところに稚魚が泳いでいる。こんな上流にハヤはないだろうと思いよく見てみると、ちっちゃなパーマークが付いている。それは初めて見るヤマメの稚魚だった。警戒されないようにじっとしていると、結構な数のヤマメが泳いでた。こんな上流まで漁協が放流に来るとは思えないので、天然で孵化したものだろう。もっと見ていたかったのだが、そろそろ帰る時間なので重い腰をあげた。彼らが1尾でも多く成魚になるといいなと思いながら、渓をあとにした。


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