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 きのこ狩り

 長野県八千穂高原
 1998.10.3(土)〜4(日)

Text&Photo:高野 智 

 渓流釣りも一部漁協を除き禁漁になり、渓魚たちは産卵の季節にはいった。山の木々も色づきはじめた長野県八千穂高原で、どんぐり山の会主催のきのこ狩りが行われた。

 この会は毎年場所を替えて行われており、沢山の参加者でにぎわう。今年も瀬畑氏、川上氏、下田氏等の渓流釣り有名人を始めとして、多くの渓流&登山愛好者が集まった。私たち渓道楽も会長を始めとして8名が参加した。

 現地の集合時間は午前9時なので、朝の4時に出れば充分間に合うだろうということになっていたのだが、会長が急に「早めに行って現地で寝よう」と言いだしたので、午前12時に「かじか」を出発することになった。途中休憩を取りながら午前4時頃に八千穂高原の駒出池キャンプ場に到着した。そこで会長がひと言「誰も来てないな〜」。あたりまえだって、釣りじゃないんだからこんな早く来る人なんていないって! しかたがないので車の中で一眠りすることにした。空を見上げると満天の星空だ。流れ星も流れて、人工衛星まで飛んでいるのが見える。星ってこんなにあったんだと久しぶりに感動した。

 目を覚ますと午前8時。すでに大勢の人が集まっていた。瀬畑氏の顔も見える。だが我が会の顧問川上氏はまだ来ていないようである。朝飯を食べてのんびりしていると30分遅れで川上氏が到着。瀬畑氏らの簡単な挨拶の後車に分乗して、きのこ狩りに出発した。

慣れていないので、なかなか見つからない。
瀬畑氏に、きのこの種類を教えてもらう。

 最初に入ったのはすぐ近くの山で、下のほうから渓のせせらぎが聞こえてくる。山に入ると目を凝らしてきのこを探した。しかし、だいぶ人が入った後のようなので、目ぼしいきのこは残っていない。あっても小さなものばかりである。もちろん私たちには毒きのこの判別なんてつかないので、目についたものは片っ端から袋に詰めた。後で瀬畑氏らが別けてくれるので大丈夫だろう。1時間程探したのだが少ないので山を替えることにした。

大きなきのこを見つけてニコニコの会長。
じつは食べられない「きのこ」だった・・・。

 昼飯を食べてから次の山に入る。しかし、この山も人が入った跡があり、小さなきのこばかりである。私たちはどんどん山頂に向かって向かって登っていった。それにしてもこの山は藪蚊が多くてまいった。ブンブン飛び回っているので、油断していると直ぐに刺されてしまう。そのうち皆ばらばらになり、遠くのほうで枯れ枝を踏むパキッという乾いた音が響く。アカ松があるので松茸がないかと探したが、そんな簡単に見つかるわけもなく、得体の知れないきのこを取りまくる。なかでも傘の赤いヤバそうなきのこは沢山あったので、取り敢えず袋に入れておいた。

 そろそろ集合時間なので下り始めたところ、上から会長が下りてきた。籠の中を見ると大きなきのこが沢山入っている。これは食べられそうな感じだ。会長もニコニコだった。

 キャンプ場に帰ってからは、いよいよ選別作業だ。瀬畑氏や川上氏らが各グループの取ってきたきのこを見て回った。そして渓道楽のところへやってきた。ところが瀬畑氏と川上氏で意見が食い違っている。「これは食えるな」「なにいってんだよ。食えないって」「いや、食えるよ」おいおい大丈夫かよ。二人の意見が違うんじゃ安心して食べられないじゃないか。この二人、いつもこんな感じらしい。そして会長の取ってきた大きなきのこ、瀬畑氏もなんだか分からないようだ。「ま、ちょっと食ってみっか」と千切って生で口に放り込んでしまった。結局、食べられそうだけどやめとこうということになり、あえなくゴミ箱行きとなってしまい、会長がっかり。こうして、半分以上のきのこは捨てられることになってしまった。なかには猛毒のもあったらしく、川上氏が「こんなもん取ってくんなよ、アブねーな。」なんていうのも。だって片っ端から取って来いって言ったじゃない、川上さん。

たくさん取ってきたが、なかには怪しいものも・・・。
取ってきた「きのこ」を煮込み、きのこ汁を作った。

 そんなこんなで選別が終わり、食べられるものは「きのこご飯」と「きのこ汁」になることになった。あとは出来上がるのを待つだけである。

こりゃ〜旨いね。
しびれる田辺氏。


これは「イグチ」の仲間です。結構いけます。

 暗くなったころに各自が持ち寄った肴で宴会が始まった。川上氏などは早くも酔っぱらいと化している。やがて「きのこご飯」と「きのこ汁」が配られた。ご飯は炊きたてで、とてもおいしい。「きのこ汁」はどうかなと見ると、なんだか得体の知れないのが沢山入っている。取り敢えず食べてみる。しかし、「おいしいきのこ」と「食べられるきのこ」というのは違うのが良く分かった。なかには不味いのもあり、田辺氏によるとピリピリと舌がしびれるのもあったそうだ。まあ皆酔っぱらってるから分からないだろう。そして、宴会は盛り上がり夜が更けていくのであった。

渓道楽顧問のカ〜カミさんです。

 翌日、7時頃に目が覚めた。瀬畑氏らは既に朝飯の準備をしている。昨日あれだけ動いて、遅くまで飲んでいるにもかかわらず、タフな人達である。それに比べて我が会長は早寝、遅起き。う〜ん、入る会を間違えたか・・・。川上氏は朝から酔っぱらいである。とんでもない人に顧問になってもらったもんだ。そんな川上氏が「来年は八久和に行くから、足腰鍛えておけよ」と言っていた。酔っぱらってなければ頼りになる人だから、鍛えておこうか。

瀬畑氏を囲んで。

 朝飯を食べた後、お世話になった方々にお礼と再会の約束をしてキャンプ場を後にした。このあとは海ノ口温泉の露天風呂に入って帰るだけである。温泉はとても気持ち良く、疲れた体を癒してくれる。のんびりと湯に浸かりお土産を買って帰路に着いた。


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