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きのこ採り

新潟県

2009.11.21〜22





Text & Photo  : のりじいさん

渓道楽というかそれを取り囲む仲間たちの良さは、あくまでも子供中心で物事を考えるという部分にある。山菜もキノコも子供が採れる場所を第一に優先して計画が進められる。
そうは言っても私の息子が小さかった時分は子供と言ってもうちの息子と高野さんちの3兄弟くらいなもので、その頃を考えると随分と子供たちの数も増えて来た昨今である。今回参加出来なかった家族たちを考えるとその全員が集まったらどんなにか楽しく賑やかだろうかと想像する私である。その中にはちゃっかりと孫を連れた自分の姿も忘れないのだから私もまだまだ先が楽しみな一人なのだ。
そしてこんな計画にいつも手を貸してくれるのが新潟県小千谷市に住む山田さんである。山田さんは渓道楽顧問川上さんが存命中からお世話になっている古いお付き合いで山菜もキノコも我々の軟弱さを十分に理解した場所の選定をしてくれる心優しい御方である。中越地震で被災した折には傾いた自宅の前で日頃の野外生活術を駆使して有り余る食材を並べて毎晩宴会をしていたという噂もある。心ばかりの義援金のお返しにと段ボール箱一杯にキノコを送ってくれたりもした。私やナベちゃんなどはそんな山田さんに会い一緒に酒を飲むのが主目的のような部分もある。今回もそんな山田さんにお世話になりながらキノコ採りを楽しんだ二日間のレポートである。

11月21日、関越道を新潟へと向かう。県境の長いトンネルを抜けるとそこは雨だった・・・、そんなかなり冷たそうな雨が降る中、待ち合わせの場所でナベちゃん家族と合流。一路キノコのシロへと向かう。
車止めには既に酒田さんが先着していて手頃なナメコを探し当てて待っていてくれた。「ご苦労!ご苦労!」といかにも大名キノコ採りの風情である。

早々に着替えた一行はナメコの採取。まだ就学前の子供二人を中心にハサミが奏でるチョキチョキ音が雨音に負けじと響き渡る。
ナベちゃんと私と息子は子供たちをしみたかに任せて別の場所に在るというナメコを酒田さんの案内で採りに向かい、ついでに周囲を探索して別のナメコとヒラタケを追加する。

そうこうするうちに次第に雨脚が強くなり雷まで鳴り始める。思えばナベちゃんとしみたかが居るのだから悪天候も当然の事ではあるが、そんな彼らと毎度毎度懲りずにパーティーを組んでやって来る私もどうかしているのだろう。息子などはもう諦めムードで苦笑しているだけである。
そんな天候に軟弱を自認するメンバー一行は全員一致で温泉と決定し宿泊場所であるキャンプ場に向かった。

温泉に入りコテージに収まればすることは一つしかない。早々に宴会が始まる。酒を飲みながらもキノコ鍋や焼き肉の準備を怠りなく進める。と言うと聞こえは良いがもっぱら包丁を握っているのはナベちゃんの奥様であり、「ああでもない」「こうでもない」と五月蠅いだけの男連中なのである。
夕方になり根がかりクラブの原くん家族や御大である小千谷の山田さんが到着し宴会も一気にヒートアップを迎える。

毎回の事ではあるが山田さんからはキノコの美味しい料理の仕方を教えて戴く。今回は「ヒラタケご飯」と「ナメコの卵とじ」を教えて戴いた。レシピをここに書いてあげたいのは山々なのだが、それは現地に居た我々だけの特権として秘しておく。(単に酔って忘れたとも言う・・・笑)まあ、名前だけで想像して各々料理してみて下さいませ。

夜8時を過ぎて松井が到着。私が「松井」と書くのもおかしいので「まっちゃん」と言い換える事にする。
まっちゃんが到着するまでにはちょっとした物語がある。東京を出る時点から律儀に会長職であるナベちゃんに現在地を報告して来た彼であるが、それを受ける側のナベちゃんは時間の経過と共に酒が入りテンションが上がっていたのである。「松井、インター降りたら途中でピザ買って来い!」そう注文を付けたまではまだ良かった。まっちゃんからインターを降りたという報告を聞いてから暫くして「何、店が無い!今何処だ?・・・ん、ローソンの信号??馬鹿やろ〜っ、そこは此処の入口じゃねぇ〜か!!戻れ、買うまで来るな!!バカ、帰れ!!!」こんな会話が聞こえている傍らで我々は爆笑しながら酒を飲んでいたのであり、それは漸くピザの箱を3つも抱えてやって来たまっちゃんを迎えるまで続いたのである。


翌日、まっちゃんや原くんたち家族にキノコを採らせるべく出陣。大人8人子供8人の総勢16人で賑やかにキノコ探索に向かう。昨日とは打って変わった晴天の下でヒラタケやクリタケ、ナメコを子供たちに採らせてまわる。
程良い時間で車止めに集合してキノコの品評会。まっちゃんが見事なヒラタケを採って来てみんなに自慢しているので「イワナは釣れないけどキノコは採れるんだなぁ。まあイワナと違ってキノコは逃げないからねぇ!」と得意顔に一言浴びせておくことも忘れない私である。

こうして天気も良く、キノコ採取も満足出来た今回のイベントだった。子供を中心に父親の得意な領域で一緒に遊べるというのはとても楽しい事だ。自分が採るのではなくて満面の笑顔でキノコを採っている子供たちを見ているのが楽しいと思える仲間が揃ったからこそのこんな企画。それはやはり渓道楽ならではなのではないかとキノコを肴に晩酌を傾けながら思い返している私である。


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