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カヤの平高原 キャンプ

2006.08.21〜23

高野一家






Text & Photo  : 高野 智

 今年も夏休みがやってきました。夏休みと言えば恒例のキャンプです。昨年行った上高地が良かったので、また今年もと思ったのですが、どうせなら行ったことがない所にしようということで、長野県木島平村にあるカヤの平高原にしました。
 カヤの平高原は志賀高原の北に位置し、標高1,450mほどにあります。ブナや白樺の森に囲まれた自然豊かな場所で、観光地化されていないのでとても静かな所です。
 カヤの平高原キャンプ場には管理棟、案内所、ロッジと3棟の建物しかなく、あとは常設テントが張ってるだけでした。お盆休みあとの平日とあって、泊り客は私たち家族以外には2組だけ。ガヤガヤとした喧騒も無く、静かな時間を過ごすことが出来ました。

とても静かなキャンプサイト
後ろに見えるのはカヤの平ロッジ
テントを張り終えると雨が降ってきた

 
草原に咲いていたシシウドの花
まるで線香花火のよう
 














ヤナギラン
美しいピンク色の花びらが光り輝く
雨上がり
草原の全ての植物に水滴が付き、まるで宝石のような輝き
それは写真でしか捕らえることができない光景

 
赤とんぼ
高原には無数の赤とんぼが舞っていた

 
雨も上がり青空に白い雲が漂う
山の天気は変わりやすい 女心と秋の空

 
秋空とコオニユリ
咲き誇ったユリの季節も終わりに近い 最後に残った一花が秋の訪れを感じさせる

 
ヤナギランの蜜を吸うキアゲハ
太陽が顔を出すと、どこからともなくチョウたちが現れる
過ぎ行く夏を精一杯生き抜く虫たち

 
光の輪に囲まれてバッタは何を思うのか
 
過ぎ行き夏を楽しむのがここにも一人いた
トンボ捕れたか?

 
仲良く蜜を吸うタテハチョウ
夫婦喧嘩はしないのかい?

 














コオニユリ
緑の草原に自己主張のオレンジが映える

その姿は優雅な貴婦人か?
キアゲハ
都会では見られなくなった虫たちも、ここでは主役級の活躍

 

 2日目は片道2kmほどのハイキングで「北ドブ湿原」へ向かいます。北ドブ湿原は標高1,550mほどのところに広がる湿原です。
 午前中から出かけて湿原でお昼御飯を食べようと思って準備していたのですが、出かける直前に遠くからゴロゴロと雷の音がしはじめたと思ったら、すぐに土砂降りになってしまいました。さっきまで素晴らしい青空だったのですが、今は黒雲に覆われています。
 天気の良い時間帯にハイキングに出かけた親子連れが、ずぶ濡れになって戻ってきました。いくら天気が良くても雨具くらいは持っていかないと・・・。
 仕方なくフライシートの下でおにぎりを頬張り、雨の止むのを待ちますが、一向に止む気配がありません。湿原に行けないとなるとトンボ捕りに来ただけで終わってしまいます。
 祈るようにじっとしていると空が明るくなってきました。青空は見えませんが黒い雲は西の空へと去ったようです。
 大丈夫そうなのでザックに雨具を詰めて出発しました。

 湿原へはブナの原生林を抜けていきます。森に入ると先ほどの雨のしずくがブナの葉を伝って落ちてきます。森はしっとりと濡れ、生き生きとしていました。















森は命の水を受けて生き生きとしていた
湿原までは適度なアップダウンがあり、のんびりした山歩きを楽しめる
見事なブナたち
この辺りも豪雪地帯 雪のブナ林も見てみたい

 
ブナ林を進むとやがて道は下りとなり、ポッーんと湿原に飛び出した
花の盛りは終わっているが、それでも美しい花たちが出迎えてくれた

 
北ドブ湿原の木道をゆく
多くの花が被写体になってくれる
子供たちにはただの草っぱらか?
 
アキノキリンソウ
秋の湿原を淡い黄色の花で彩る可憐な植物
ウメバチソウ
花が梅鉢紋に似ているところからウメバチソウの名前が付いた
小さな花だが、ハッキリした花びらの模様が美しい

 
淡い紫の花びらに水滴が光っていた
調べたけれど名前が分からなかった花

 
オタカラコウとイチモンジセセリ
オタカラコウのシベはクルンと丸まって不思議な形

 















ヤナギラン
可憐なピンクの花を付け湿原のあちこちに咲いていた

 3日目の最終日、夜中に降っていた雨も上がり、すっきりした青空が見えました。
 しかし、それも長くは続かず、しばらくするとまたガスってきてしまい、今回はめまぐるしく変わる天気に翻弄されたキャンプでした。
 今まで何箇所かのキャンプ場に行きましたが、これほど静かなところは初めてです。穴場のような場所なので、皆さんもぜひ訪れてみてください。
白樺と朝霧
最終日の朝、待ちに待った朝霧が高原を包み込んだ

 


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